400年もの長い歴史のなかで完成された有田焼は、一般的に「古伊万里」「柿右衛門」「鍋島藩窯」の三様式に分けられます。
古伊万里様式
肥前有田で江戸時代に生産された、濃い染付(そめつけ)と金襴手(きんらんで)と呼ばれる赤や金の絵の具を贅沢に使った様式のことです。当時、これらの磁器は有田に隣接する伊万里の港から船積みされたことよりこの名が付けられています。
染付(そめつけ)

染付とは、素地の上に呉須と呼ばれる青色顔料で文様を描き、その上に透明の釉薬を施して焼き上げた、白地に青一色の絵付けのことです。
金襴手(きんらんで)

金襴手とは、色絵の磁器の上に金泥や金粉をあしらった金彩を施し、絢爛豪華に模様を描いたもののことです。
柿右衛門様式

濁手(にごしで)とよばれる、透明感と暖かみのある乳白色のバックに余白を十分に残し、極めて繊細な黒い線と色鮮やかな赤・緑・黄・青で大和絵的な花鳥風月を左右非対称的で描写的に描いた様式のことです。
後期には、この4色に紫や金も加わるようになります。器の口縁に「口銹(くちさび)」と呼ばれる銹釉が施されている作品も多く見られます。
図柄には「岩梅に鳥」「もみじに鹿」「竹に虎」「粟に鶉」などの典型的なパターンも特徴的です。
柿右衛門様式の色絵磁器は輸出用色絵磁器として飛躍的に発展し、数多くの作品がヨーロッパに渡り、ドイツのマイセン窯などでは、この模倣品もたくさん作られていました。同時に、磁器発祥の地とも言われている中国の「景徳鎮窯」にも多大な影響を与え、同様の作品が作られ、これらもヨーロッパのほうへ輸出されていました。
鍋島藩窯様式
青みがかった地肌やくし高台、裏文様に特徴があります。
その技法は、染付と赤・青・緑の三色を基調とした「色鍋島」、藍色で精緻に描かれた「藍鍋島」、自然の青翠色の「鍋島青磁」があります。

参照: The Metropolitan Museum of Art

参照: The Metropolitan Museum of Art

参照: The Metropolitan Museum of Art
なかでも上絵を伴った「色鍋島」は佐賀藩主が使う食器や、諸大名・幕府への献上品として完成度の高い格調ある製品に仕上がりました。